
ドル円は157円台後半から158円台を中心に、底堅い動きが続いています。
米長期金利は依然として高水準にあり、 ドル全面高の流れも継続。 一見すると、ドル円の円安基調に大きな変化はないように見えます。
しかし、その裏側で注目したい変化があります。
それが、日本の「実質金利」が上昇方向にあることです。
これまでドル円の円安を支えてきた大きな理由のひとつが日米の金利差でした。 その前提に変化が出始めているのか、今日は実質金利からドル円の現在地を整理します。
円安相場に変化の兆し。
そもそも「実質金利」とは?
為替を見るときによく使われるのが「金利差」です。
ただし、金利には大きく分けて 「名目金利」と「実質金利」があります。
名目金利は、政策金利や国債利回りなど市場で実際に確認できる金利。
一方、実質金利は、 名目金利からインフレ率を差し引いて考える金利です。
つまり、金利そのものが上昇していなくても、 インフレ率が低下すれば実質金利は上昇することがあります。
為替市場で中長期的な資金の流れを見るうえでは、 名目金利だけでなく、この実質金利の変化も重要になります。
日本の実質金利が上昇方向へ
今回注目したいのは、 日本の実質金利の「水準」よりも「方向」です。
日本の短期実質金利は依然として低い水準にあります。
しかし、直近の推移を見ると、 短期・長期ともに実質金利は上昇方向にあります。
特に長期の実質金利については、 「日本だけが極端に低い」と単純に捉えられる状況ではなくなりつつあります。
これはドル円を見るうえでも無視できない変化です。
重要なのは「日米の方向の違い」
さらに注目したいのが米国との比較です。
日本の実質金利が上昇方向にある一方、 米国ではインフレや金融政策を巡る環境変化によって、 実質金利には低下方向への圧力も意識されています。
つまり、これまでドル円を支えてきた 「大きな日米金利差」が、 今後も同じ方向へ拡大し続けるとは限らなくなってきています。
日米の実質金利差が縮小方向へ向かえば、 これまで続いてきたドル買い・円売りの前提にも変化が出る可能性があります。
それでもドル円は158円台。なぜ?
実質金利の方向に変化が出ている一方で、 足元のドル円は依然として底堅く推移しています。
背景にあるのは、 高水準の米長期金利とドル全面高です。
米国債利回りが高止まりしている間は、 短期的にはドルを買う動きが入りやすく、 ドル円の下値も支えられやすくなります。
つまり現在は、 短期的にはドル高圧力が強い一方、中長期では円安を支えてきた構造に変化が出始めている という状況です。
この時間軸の違いを分けて考えることが重要です。
158円台では介入警戒も
もうひとつ忘れてはいけないのが、 日本当局による円安けん制です。
ドル円が158円台からさらに上値を試す局面では、 当局発言やレートチェック、為替介入への警戒が強まりやすくなります。
一方で、最近のドル円は急落しても安値では買いが入り、 短時間で戻すケースも目立っています。
そのため、 「円高になる」と一方向に決め打ちする局面でもありません。
上では介入警戒。 下では押し目買い。
現在のドル円は、両方向の力がぶつかりやすい相場と考えておきたいところです。
ここからのドル円、何を見る?
まず確認したいのは、 米長期金利がさらに上昇するのかです。
米金利の高止まりが続けば、 目先のドル円には引き続き上昇圧力がかかりやすくなります。
一方、中長期では 日本の実質金利が今後も上昇を続けるのかに注目です。
日本の実質金利上昇と米国の実質金利低下が同時に進めば、 日米金利差を背景とした円安トレードの前提そのものが変化する可能性があります。
今日は「米金利」「日本の実質金利」「介入警戒」の3つを 軸にドル円を確認していきたいところです。
- 日本の実質金利は上昇方向
- 重要なのは金利の「水準」より「変化の方向」
- 日米実質金利差が今後縮小するかに注目
- 目先は高い米金利がドル円を下支え
- 158円台では円安けん制・為替介入にも警戒
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