オイルマネーとは、主にサウジアラビアなど中東の産油国が、石油輸出によって得た巨額の収入を運用する資金のことです。
原油産出国は、自国の原油生産量や価格を調整することで安定した収入を確保しており、その利益を元手に政府系ファンド（SWF：ソブリン・ウェルス・ファンド）や中央銀行を通じて運用しています。
経済ニュースなどで「オイルマネーの流入」という表現が使われるのは、この巨額資金が市場に流れ込み、相場に大きな動きをもたらす場合を指しています。
オイルマネーの特徴は、まず資金規模の大きさにあります。
特に中東諸国は、原油価格の上昇期に膨大な利益を得るため、その資金を先進国の株式市場・不動産市場・債券市場に幅広く投資します。
また、オイルマネーは欧米系の資産運用会社を通じて世界中に投資されることも多く、その動きが国際金融市場全体に波及するのが特徴です。加えて、産油国にとっては将来の資源枯渇に備えた資産運用の意味もあり、経済基盤の安定化という側面も持っています。
オイルマネーは為替市場に直接的な影響を与えます。原油は国際的に米ドル建てで取引されるため、原油価格が上昇すると産油国はドル収入を増やし、その一部をドル資産の購入に充てることでドル高要因となるケースがあります。
一方、得られた資金をユーロや円などの他通貨建て資産に分散投資する動きもあり、これが為替レートの変動要因となります。
特定の市場にオイルマネーが大量に流入すると、その国の通貨や金融資産が一時的に買われ、FX市場全体にも影響を及ぼします。つまり、オイルマネーは「エネルギー価格」と「為替相場」を結びつける重要な資金フローといえるのです。